2017.1.26 yoru no fukurami

こんばんは、琴乃です。

今日は珍しく小説をシェアしたいと思います。

 

よるのふくらみ 窪美澄

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高校生の頃でしたかね。

ふがいない僕は空を見た

という彼女の作品をたまたま本屋で見つけて、あらすじを読んでなぜか猛烈に気になって買ってみたら、まんまとその日のうちに読みきりました。

偶然コスプレイベントで知り合った高校生と主婦の不倫話ではあるんですけど。主人公の高校生・拓巳と主婦・里美の心情とか日常とか、周りを取り巻く人々との脆いようで逃れられない関係性とかも全部むき出しに描かれていて、幼いながらに心の中を掻き回されるような、感情をグチャグチャにされるような、苦しさと切なさをその小さな文庫本の中に見たんです。

帯には映画化と書かれていて、映画も観たくなったんですが、さて。誰を誘えばいいものか。琴乃はこんな変態な作品が好きなの?って引かれたらどうしよう。(ほんと浅はかですね笑)梅田の映画館にも行ったことがない。でもどうしても観たくて、思い切って生まれて初めて1人で映画を観ました。主演の永山絢斗瑛太の弟ということも、監督がタナダユキさんということも知らずに。

映画もキャスティングが良かったし、終始寂しげな色のトーンで描かれていて、あの苦しさと切なさを画面の中にも見ることができたように思います。

 

そこから私の心の中に、窪美澄さんの存在が焼きつきました。

それにしても私は読書がそこまで好きではないみたいで、晴天の迷いクジラ という作品を読んでから(こちらも感想を書き殴りたいほど良かった)、意味もなくしばらく疎遠でした。

 

それでも昨日出会ったのが、今回シェアしたい

よるのふくらみ

です。前置きがずいぶん長くなりましたね。

 

東京のさびれかけた商店街で育った主人公のみひろと、幼馴染である兄弟、圭祐と裕太の恋愛沙汰なんですけど。今回はもう、3人ともズルいのなんの。3人とも本当にダメダメで、傷つけあってばっかりです。私自身おっぴろげに素直だのまっすぐだの言ってますけど、実際彼らのようにズルくてダメダメで、誰にも言えないような感情に支配されて眠れなくなるような夜もあります。それをこの作品はいっっぱい引きずり出してきました。困ります。心地よかったんです、彼らの醜い感情全部が。安心できます、彼らのズルさと、それを必死に隠して平然を装う姿を想像することは。3人とも誠実です。3人とも悪くない。それを許してくれているような、生々しく優しい描写。

商店街という閉鎖的で特殊な(私最近日本のこともこう例えたなぁ)環境で育ったことも、本当に巧みに表現されています。今回も周りの人々が本当に1人1人大事な役割を果たしてくれる。誰も無駄にしないのが、窪美澄さんの特徴なのかな。この人は、人間を知っている。観察にとどまらず、潜り込んでいる。私はそう思います。

 

しいてオススメするなら、"永い言い訳"という作品が好きだった人。あなたには多分ほとんど間違いなくヒットします。

でも色んな人に読んでほしい。自分を責めてしまう人、誰にも言えない夜を過ごす人、間違ってるとわかっていてもやめられないことがある人、急にたまらなくなる人、我慢することに鈍感になっている人、自分がズルいって自覚がある人。など。色んな人に。

 

そして解説が尾崎世界観。これがまた良かった。以前私はクリープハイプが好きでした。でもラブホテルとかエロとか、そういう曲名に目を輝かせて喜ぶ女の子たちを見て、尾崎世界観は女を馬鹿にしてるのかな。彼の曲をがむしゃらに叫んで歌っていた私はみじめだな。そう思って無駄なダサいプライド抱いて、彼の曲から疎遠になっていたんですよね。でも解説を読んで、彼は女に寄り添ってみたり、突き放したりして、彼自身も色んなことにうんざりしてて。諦めながら、どうしようもないと思いながら、それでも歌ってるのかな。なんて思いました。今、彼がつくった曲を聴いています。なんなら叫んで歌ってますね。笑 みじめな女、夜露死苦!って感じ。(突然なんなんですか怖いですけど)

 

一体この世で、誰が、正しくない人を責められますか?

一体この世で、誰が、人の間違いを正せますか?

あなたに、私の間違いを正せますか?

 

まだまだ、自由なんてこの世にはないと思う。

まだまだ、私の腹ん中はどす黒い。

だけど私は純粋にみんなに優しくしようと努めるし、大事な周りの人を大事にしようと努めるし、笑顔にも嘘はない。私が今まで手の内で大事に育ててきた大切な信頼関係も、無くさないように全力を尽くす。

 

だから誰にも、私の間違いを正してほしくない。